企業内共済会の代表的な運営方式である「従業員団体方式」と「人格のない社団方式」のそれぞれの特徴を下表にまとめてみました。

└運営方式の相違によるメリット・デメリットはこちらから

 

 運営方式

 従業員団体方式

 人格のない社団方式

福利厚生事業の主体 母体企業 団体
福利厚生事業に係る経費の拠出 母体企業 団体の構成員である企業の役職員
団体が行う福利厚生事業から生じた所得 母体企業の法人所得

※福利厚生事業に係る経費の相当部分を母体企業が負担し、税法要件を満たしている場合です。
*法人税基本通達14-1-4、14-1-5
*所得税基本通達2-8、2-9

団体の法人所得

*法人税法第3条
課税主体 母体企業 団体
所得に対する課税 福利厚生事業から生じた全ての所得に対して法人税、法人住民税等が課税されます。

※税法の要件を充足した企業内共済会は、原則として、共済会が営む福利厚生事業の収支・損益については、その全額を母体企業の収支・損益に係るものとして計算しなければなりません。
※ただし、企業内共済会の収支・損益が、団体構成員から収入した共済会費等の部分で按分するなど適正に区分経理されている場合には、例外として、その区分された割合に応じて、母体企業の収支・損益の額を計算することができます。
*法人税基本通達14-1-4、14-1-5
*所得税基本通達2-8、2-9

福利厚生事業のうち収益事業から生じた所得に対してのみ法人税、法人住民税等が課税されます。

※非収益事業から生じた所得に対しては、法人税等が課税されません。
*法人税法第4条、第7条
所得の運用  福利厚生事業から生じた所得を預金、有価証券等で運用する行為は、母体企業が行う資金運用の一部となります。 福利厚生事業のうち収益事業から生じた所得を預金、有価証券等で運用する行為は、収益事業に付随する行為に該当します。

※非収益事業から生じた所得を預金、有価証券等で運用した利子や配当に対して源泉所得税が課税されます。
※法人税が課税されないため、法人税における所得税額控除の適用はありません。
*法人税基本通達15-1-6
*法人税法第68条

構成員に支払われる収益の分配金 給与所得に該当します。

※法定社内預金制度の利子について、役員は雑所得、従業員は利子所得に該当します。
雑所得に該当します。

※清算分配金、脱退により受ける持分の返戻金は一時所得に該当します。
*所得税基本通達35-1

保険業の該当 該当はありません。

※原則、保険業法の適用除外です。ただし、例外規定があり、保険事業を行うことを専ら目的とする団体は、保険業に該当します。
*保険業法第2条1項2号ロ
*保険業法施行令第1条の2

該当はありません

※原則、保険業法の適用除外です。ただし、例外規定があり、保険事業を行うことを専ら目的とする団体は、保険業に該当します。
*保険業法第2条1項2号ロ
*保険業法施行令第1条の2
共済事業(保険業法の適用除外)の位置づけ 収益事業に該当します。

※母体企業が普通法人の場合、収益事業/非収益事業の区分はありません。
非収益事業に該当します。

※法人税法に規定されている34の収益事業の何れにも保険業は該当しません。
※ただし、「当該事業の内容に応じてその全部または一部が収益事業に該当するかどうかの判定を(所轄税務署が)行うことに留意する。」法人税基本通達15-1-3に規定されていることから注意が必要です。

福利厚生ファンド(財源)の分離・独立 団体構成員から収入した共済会費等の財源は、母体企業の雑所得となり、原則として、母体企業の収支・損益から分離・独立することはできません。ただし、特例はあります。

※所得に対する課税欄をご参照ください。

団体構成員から収入した共済会費等の財源は、団体の所得(非収益事業に該当)となり、母体企業の収支・損益から完全に分離・独立されるため、財源の分別管理が可能となります。
所轄税務署への損益計算書等の提出 税法上「従業員団体」に該当した企業内共済会は、母体企業と一体で会計・税務処理を行うため、福利厚生事業部門として、別途、所轄税務署へ損益計算書または収支計算書を提出する必要はありません。 非収益事業だけを行うのであれば、所轄税務署へ損益計算書または収支計算書を提出する必要がありません。この場合、人格のない社団の会計年度は、1月1日~12月31日となります。

*法人税法第13条、第14条
*租税特別措置法第68条の6
*租税特別措置法施行令第39条の37

※上表は、弊社調べによるものです。

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